不法侵入や窃盗などの犯罪抑止に。進む学校施設への防犯カメラ設置の取り組み
子どもたちの安全を守るため、学校施設における防犯カメラの設置が普及しています。昨今の防犯カメラはIPカメラのようにリアルタイムで遠隔監視ができるため、教師や警備員の目の届かない場所にいる子どもたちの様子を見守ることが可能です。その一方で、子どもたちの人権やプライバシーの侵害を危惧する声も。今回は、学校施設に防犯カメラを設置するメリットと、問題点についてご説明します。
気をつけたい、学校施設内で起きる犯罪
小学校や幼稚園への不法侵入や窃盗など、学校施設の警備体制の甘さを突いた犯罪は後を絶ちません。近年、犯罪の動機や手口は巧妙化・多様化しており、いついかなる理由で学校が狙われてもおかしくないといえるでしょう。
窃盗の場合、学校内で保管している給食費、修学旅行などの積立金、あるいは教師の私物などが狙われる可能性が高くなります。防犯対策への取り組みが遅れている学校は、現状の学校施設を点検し防犯上の問題点を把握した上で、防犯システムを整備することが必要です。
不法侵入や窃盗を許してしまう学校に共通している点は、防犯意識が低いこと。来訪者をチェックする監視カメラがなく、きちんと施錠されていない学校は、自ら泥棒に入ってほしいといっているようなものです。また、不審者による犯罪は窃盗だけに限りません。殺人や放火、傷害などの凶悪犯罪が、学校施設内で起きる危険性もあります。子どもたちを犯罪から守り、保護者に心から安心してもらうためにも、防犯システムの導入は不可欠といえるでしょう。
学校施設での防犯カメラの効用
防犯対策に有効な監視カメラも、ただ設置すればいいというわけではありません。適切な場所に設置し、不審者の侵入監視や犯罪抑止ができることも大切なポイントです。
設置場所
「不審者の侵入防止」を目的とした場合、防犯カメラは校門や周囲の外壁に取り付けるのが望ましいです。人感センサー機能付き防犯カメラは、不審者の侵入を知らせてくれる機能があると便利でしょう。また、防犯カメラは必要に応じて複数箇所設置し、広い範囲をカバーする監視体制をつくると防犯効果がより高まります。
犯罪者心理として、死角になっている場所や建物の影など見通しの悪い場所から侵入するケースも考えられるため、設置する際は侵入経路の予測をしておくことも大切です。
ネットワークカメラで監視を
ネットワークカメラを導入すれば、遠隔操作で録画と映像の配信、モニタリングができます。高いセキュリティ効果が見込まれ、犯罪抑止につながるでしょう。防犯カメラが捉えた不審者の映像を、職員室のモニター画面で確認できるようにすれば、巡回の警備人員を増やす必要もありません。
夜間や休日も監視を
教職員や用務スタッフのいない夜間や休日も防犯カメラで警戒監視する体制が望ましいです。高感度の暗視カメラや赤外線機能付きカメラは、暗闇でも人物の特定が可能なため、夜間の防犯対策には欠かせません。また、人の動きを検知して照明を当てるセンサーライト付き防犯カメラを屋外に設置することで、侵入者を威嚇し、犯罪を未然に防ぐ効果も期待できます。
危惧される課題は?
ネットワークカメラを設置し、職員室にあるモニターから不審者の侵入・行動を監視したとしても、防犯対策としては万全とはいえません。作業服を着た人物が入ってきた場合、関係者と不審者のどちらなのかを見極めることは困難だからです。そのため、どこの誰が何時頃訪問するのか、来訪者管理と情報共有を学校側でしっかり行う必要があります。
さらに、防犯カメラを常時稼働させることで、子どもたちに心理的な圧迫感をもたらす懸念もあります。人権やプライバシーといった問題をクリアするためには、保護者の理解も必要です。監視カメラの設置や防犯システムを整備する必要性を説明し、理解を求めていくことが求められるでしょう。
おわりに
学校施設を狙った犯罪は、防犯意識が低いところほど被害が目立ちます。同時に、それまで被害に遭ったことのない学校であっても、狙われる可能性は否定できません。子どもたちの安心と安全を守るため、保護者の理解を求めながら、防犯システムの導入を心がけたいものです。