ネットワークカメラやIP監視カメラの映像が流出する原因と対策
近年、監視カメラの分野では、遠隔監視が可能なネットワークカメラやIP監視カメラが主流となっています。しかし、セキュリティー対策の不備などから映像が流出する事故が多発し、各メーカーや工事施工者が利用者に警告を呼びかけています。
そこで今回は、ネットワークカメラにおける映像流出などの問題点とその原因、対策などについてご説明します。
ネットワークカメラ映像流出騒動
現在日本のみならず、世界各地で監視カメラのネットワークシステムが張り巡らされています。しかし近年、さまざまな監視カメラの映像がある海外サイト上に大量に流出する事態が発生し、防犯カメラの関係者やネットワークカメラを導入している企業・団体に衝撃を与えました。
報道によると、世界各国でおよそ2万7,000カ所、そのうち日本ではおよそ5,800カ所の監視カメラ映像が流出したとのことです。世界中のネットワークカメラがとらえた映像が誰でも自由に閲覧できる状態となり、セキュリティー対策の甘さやハッキングに対する利用者側の注意不足、認識不足が露呈しました。
ネットワークカメラとは?
ネットワークカメラとは、カメラとモニター、周辺の録画器材をインターネット接続したネットワークシステムのことです。各機器の間をネットワークで連携させることで、遠隔監視が可能となり、距離や場所を問わず防犯対策を行うことができます。
ネットワークカメラでは、撮影した映像や音声をインターネット上で管理することで、利用者はどこにいてもウェブ上でその模様を閲覧することが可能です。このようなメリットから、以前のアナログ回線に取って代わりネットワークカメラは現在、企業や病院、学校、役所などで幅広く活用されています。
流出の原因と対策
原因
大規模な映像流出事故が起きる原因の1つとして、パスワードやIDを初期設定のまま利用していたことが挙げられます。
一般的にパスワードは、セキュリティーの面から購入後にユーザーが任意で設定することが多く、出荷時の状態では、便宜的に分かりやすい数字やローマ字の羅列を用いています。初期IDやパスワードは、メーカー共有のものが多く、初期設定のまま利用した場合、簡単にハッキングを許して映像が公に出回ってしまう危険性をはらんでいるのです。
有効な対策は?
まずは初期設定の段階で、解読されにくいパスワードを設定することが重要です。ネットワークカメラやIP監視カメラは手軽に使えるため、インターネットを介在して撮影し、映像を送信しているという意識が希薄になってしまいます。
しかし、ネットワークカメラやIP監視カメラは、単なるカメラではなくIT機器です。パソコンを購入したらまずパスワードを設定するように、ネットワーク機能を搭載したカメラを使用する場合も、セキュリティー対策の観点からパスワードの設定を行う必要があります。
また、パスワードを最初に設定するだけではなく、定期的に変更するなど自主的なリスク管理を心掛けるだけでセキュリティーは強化されます。
メーカーの取り組み
ネットワークカメラの主要メーカーは、自社ホームページを通じて運用面における注意事項や、安心して使うための利用手引きなど、情報発信を積極的に行い、ユーザーに対する注意喚起を徹底する取り組みを進めています。
ユーザー側もセキュリティー面で自主的にメーカーと連携を図ることで、より強固なセキュリティー対策が可能となります。
おわりに
従来のアナログ回線を用いたカメラと比べ、利便性と効率性が格段に進歩したネットワークカメラですが、セキュリティー対策を怠ると流出事故を招くリスクも抱えています。
ネットワークカメラやIP監視カメラは単なるカメラ機器ではありません。高度な機能を備えたIT機器という認識を持ち、パスワードの設定とこまめな変更、しっかりとした管理を心掛けることで、ハッキングや流出などのトラブルは防ぐことができるのです。