前回に引き続き、ネットワークカメラのハッキングの危険についてご紹介します。

ハッキングの実例

中国で実際に起きた被害をご紹介しましょう。現在、防犯カメラの世界シェアでトップにいるのは中国の企業です。国家が町中のあらゆるところに監視カメラを設置し、取り締まりをしたりしているので、中国の人達は監視されることにも慣れていますし、実際に家庭に防犯カメラを設置している割合も多いです。そんな中国で、ある男がネットワークカメラに目をつけ、ネットワークカメラをハッキングするツールや、ネットワークカメラのIPアドレスを探し出すソフトを作り、販売をしていました。男は自身でも、ネットワークカメラにハッキングし、その映像を録画し、販売するということもしていました。その映像は、家庭での寝室の様子や家族構成などが全て見ることが可能で、盗撮映像として販売していました。音声が拾えるものもあり、その一部を公開し客を集め、「おすすめのIPアドレス」や「おすすめ盗撮映像」として販売。個人の楽しみや、詐欺の材料にするために個人情報を集めるなどの目的で、購入者がいたそうです。のちに、この男は逮捕されています。

「Insecam」という世界中の防犯カメラ映像がのぞき見できるサイト

このようなハッキングは、パスワードをかけていなかったり、パスワードが初期設定のままになっていたり、紛失した携帯やパソコンからパスワードやIPアドレスなどの情報を盗まれてしまったり、ということが発端となり起きてしまいます。その怖さと危険性を実感できる「Insecam」というサイトがあります。パスワードが初期設定のままになっている世界中の約75000台もの防犯カメラの映像をのぞき見できてしまうというのです。このサイト、私も見たのですが、日本の防犯カメラも数多く配信されてしまっています。映像が配信されてしまっているだけでなく、そのカメラが設置されている場所もわかってしまうのです。企業のオフィスやコンビ二、コインランドリー、個人宅、などあらゆるところに設置されている防犯カメラの映像が見れてしまいます。現在も目の前の防犯カメラの映像が世界中に配信されてしまっているとは知らず、設置している多くのユーザー。このような危険だと思われるサイトの管理者が逮捕されずに野放しにされているのはなぜでしょうか。このサイトは、ハッキングではなくパスワードを公開されている初期設定のままにしている防犯カメラの映像を配信しているだけなので、公開映像をまとめて配信しているだけという理由で、取り締まりが難しいようです。

ハッキングされない為に

では、「Insecam」のようなサイトや、ハッキングの被害に遭わない為にはどうすれば良いのでしょうか。ネットワークカメラを設置したら必ず初期設定のパスワードと、できればユーザーIDも、オリジナルのものに変更しましょう。そして、それらのIDやパスワードは、防犯カメラ本体などに紙に書いて貼ってしまっては意味がありませんので、別の場所にしっかりと保管しましょう。携帯電話やパソコンなど、たくさんのパスワードを設定しなければいけないのが不便で、全て同じパスワードを使用されている方が実は多いようですが、それは大変危険です。たくさんのパスワードを管理されるのが大変だというお気持ちはよくわかりますが、携帯やパソコンなどを紛失してしまった場合、そのパスワードが破られてしまうと全ての情報が流出してしまいます。ですから、パスワードはそれぞれ別のものを設定し、しっかりと管理されてください。

おわりに

2回にわたってネットワークカメラのハッキングの危険についてご紹介させていただきました。個人情報や企業情報などが流出してしまうと、詐欺などの犯罪に巻き込まれてしまったり、狙われてしまったりするだけでなく、強盗などの心配も出てきます。そういった犯罪の危険性だけではなく、自分の生活が知らない誰かに覗かれていると思うととても気持ち悪いですよね。手軽に設置できることと、その利便性から人気のあるネットワークカメラですが、リスクをしっかりと理解したうえで、パスワードの管理など注意点を守って安全にご利用下さいね。