防犯設備を最適化する資格がある?防犯効果を高める防犯設備士の資格とは
犯罪抑止に効果を発揮する監視カメラも、ただ選んで取り付けるだけでは万全とはいえません。防犯効果を高めるには、監視カメラの設置場所や取り付け方法に関する深い知識も必要となります。そのような観点から、防犯設備の専門家を育成する資格のニーズも高まっています。
そこで今回は、高度なセキュリティーシステム構築を目指す上で心強い味方となる防犯設備士についてご紹介します。
防犯設備士とは?
防犯設備士とは、日本防犯設備協会が認定する民間資格です。取得するには、警察の指導を受けた同協会が実施する2日間の講習を受け、その後行われる知識試験と技能試験に合格する必要があります。平成28年現在、全国に25,817名の防犯設備士登録者が防犯・セキュリティー分野で活動しています。
セキュリティーシステムは、防犯カメラの設置場所の見極めから設計施工、運用管理まで正しく行うことで完成するものです。そのため理論的な裏付けのもと、防犯システムを総合的にプロデュースする知識と技術を身につけた者が防犯設備士であるといえます。
上位資格にあたる総合防犯設備士
防犯設備士の上位資格に総合防犯設備士があり、総合防犯設備士になると、防犯設備の審査および監査業務が可能です。
総合防犯設備士になるには、防犯設備士としての実務経験が必要で、実務審査などいくつかの試験に合格する必要があります。平成28年現在、全国で登録している総合防犯設備士の数は341名です。
防犯設備士の主な職務と役割
防犯機器の選定
近年、防犯カメラはその機能や性能が高度化し、用途も多様化して一段と便利になりました。しかし、カメラは高度な精密機器でもあるため、扱いや管理も難しく、機器の選定にも一定の知識を必要とします。
防犯設備士の資格があれば、機械にあまり詳しくないユーザーの機器選びに対し、専門家の立場から具体的なアドバイスをすることができます。防犯カメラの販売自体は防犯設備士の資格がなくても可能ですが、機器選定に関する的確なアドバイスをすることでユーザーは安心して防犯カメラを購入・活用できるでしょう。
防犯診断
監視カメラの設置状況や運用方法、全般的なセキュリティーシステムなどに問題がないか、防犯診断を行うことも防犯設備士の仕事です。防犯システムに問題点があれば指摘し、具体的な改善策やアドバイスも提案します。
セキュリティー会社によっては防犯診断を無料で行うところもあり、見つけにくい課題の洗い出しや防犯体制の見直しにも効果的です。
地域の防犯活動に貢献
防犯活動を万全にするためには、警察や警備会社の力だけでは足りません。地域住民の日常的なパトロールや啓発運動も、安心できる街づくりに大きく関係します。
防犯設備士が地域住民と協力・連携し、専門家として防犯計画の策定やセキュリティーシステムの構築に貢献することで、犯罪抑止につながるでしょう。警察とも協力することで、地域住民の防犯活動をより強固なものにできます。
おわりに
テロなどのニュースが取り上げられるようになり、以前にも増して防犯に対する意識が高まっているため、防犯設備士や総合防犯設備士など防犯設備のスペシャリストの活躍は、今後期待されるでしょう。
防犯カメラは設置すれば万全というものではなく、機種の選定や設置方法を正しく理解し、管理・運用することが大切です。防犯知識に精通していないユーザーであれば継続的にシステム運用していくことは難しく、防犯設備士など専門家の知見が必要となってきます。
専門知識がないユーザーのセキュリティーを支えるだけでなく、より広い範囲では地域社会の防犯活動に貢献することも防犯設備士の大切な務めといえるでしょう。