本来、防犯カメラというのは防犯の為に設置されます。最近では、事件や事故の解決に防犯カメラの映像が決め手となり犯人逮捕や事件解決につながることが多くあります。弊社でも、毎日多くのお客様からお問合せをいただき、個人のお客様から企業様、官公庁など日々全国で防犯カメラの設置をさせていただいております。ところが、その防犯カメラの映像が誤解を招き誤認逮捕につながってしまったということがあるのを知りました。防犯カメラは決して誰かを陥れたり、誤認逮捕させる為のシステムではありません。そこで今回は、防犯カメラ映像による誤認逮捕についてご紹介し、再発防止について考察してみたいと思います。

防犯カメラ映像によって誤認逮捕されてしまった事件

2014年のNHKで放送された番組で紹介されていた事件を参照させていただきます。（参照URL　http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3564/1.html）事件は山口県のパチンコ店で起きました。男性客が台の上に財布を置き忘れ何者かに盗まれたというのです。店内に設置された防犯カメラの１つが、この台を捉えていました。男性客のすぐあとに女性が座り、席に着くと台の上の方を触り、1分後に別の台に移動しました。警察は、その映像から女性が財布を盗って立ち去ったと判断しました。警察は従業員への聞き込みなども行いましたが、事件翌日、防犯カメラの映像を決め手として女性を逮捕し自白を迫ったといいます。ところが、逮捕から7日目の朝、女性は突然釈放されました。なんと、店の隅にあるごみ箱の裏から、盗まれた財布が見つかり、そこにある防犯カメラに別の人物が財布を捨てる姿が映っていました。警察が犯行現場の防犯カメラを改めて確認すると、女性が席を離れた1時間20分後にその人物が財布をとる姿があり、真犯人だと判明したのです。警察はその女性に対し防犯カメラの映像を一部しか見ていなかった。上司によるチェックが不十分でずさんな捜査だったと謝罪しました。

この事件の問題点

この事件の問題点は、決定的な証拠では無く、防犯カメラ映像を見た警察官の憶測で、次に座った女性を犯人と疑い逮捕してしまっていることです。違う防犯カメラの映像に真犯人が映っているのですから、最初からきちんと捜査されればこの女性は誤認逮捕されることはありませんでした。その誤認のきっかけとなってしまった防犯カメラ映像が実際どのくらいの画質だったかはわかりませんが、手元まではっきりとは映っていなかったそうです。

再発防止の為には？

他にも調べてみると、誤認逮捕が相次いでいることがわかり唖然としました。防犯の為、自分の身を守る為なはずの防犯システムによって、無実の人が逮捕されてしまうなんてあってはならない事です。ところが、誤認逮捕である証拠を裏付けているのも防犯カメラの映像というのも事実です。昨年、JR東日本は、2020年までに山手線の全車両に防犯カメラを設置すると発表しました。痴漢の冤罪についても話題になりましたが、混雑した車内を防犯カメラが撮影する場合、果たしてどこまで痴漢などの迷惑行為を特定できるのでしょうか。まず、ある程度以上の高画質であることが再発防止には必要です。鮮明な映像を撮影できれば、誤認逮捕などの被害は減少するはずです。（もちろんしっかりとした捜査を警察がしてくれることは第一です。）それから、顔認証システムを導入した防犯カメラの設置が東京五輪に向けて増加する傾向にあります。顔認証システムは、顔のパーツの相対位置や大きさ、目や鼻やほお骨やあごの形を特徴として利用し識別します。不正に偽造されやすい紙やカードなどよりも、確実なアクセスコントロールとして生体認証は役立ちますが、管理側がしっかりとした理念と倫理観の元に管理し利用しなければ、不安な要素が残ってしまいます。安全の為の防犯システムを利用するのはやはり人であるということを忘れてはなりませんね。

おわりに

今回は、防犯カメラ映像による誤認逮捕についてご紹介させていただきました。日々、安全安心の為に防犯システムをお客様に届けたいと思っている我々にとっては正直ショックな事件でもあります。しかしながら、こういったことがある事実も受け止めて、より一層安全安心をお届けする為に邁進しなければいけないなと感じました。防犯システムは、本来、正しく利用・活用されれば、とても安全安心に役立つものです。このような被害が無くなることを願います。