防犯カメラの設置が違法になるケースと抱える課題
防犯カメラの普及が急ピッチで進められています。毎日のニュースでは、防犯カメラの映像が犯人逮捕の決め手となったり、映像を公開し情報を求めるなど、防犯カメラの映像が事件解決に利用されていますね。その一方で、あらゆるところに設置され防犯カメラについて、懸念を示す声も聞かれます。そこで今回は、防犯カメラの設置が違法となるケースと抱える課題についてご紹介します。
防犯カメラと法律
防犯カメラに関することは、個人情報保護法と関連があります。防犯カメラはカメラで映像を撮影しますよね。例えば、その映像に人が写りこみ個人を特定できる顔が写っていた場合、その情報は個人情報となります。防犯カメラに記録された個人の画像は、特定の人物を識別することができる個人情報であり、「個人情報の保護に関する法律」に定められている個人情報として保護の対象となっています。この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としています。(第一章第一条より抜粋)
設置が違法となるケース
防犯カメラの設置が違法となるケースは、まず本来の目的から逸脱してしまった場合です。例えば、万引きが多く発生するスーパーやコンビニで防犯カメラを設置することは犯罪の抑止の為であり、仮に万引きが発生した場合、その映像を証拠として保全することは、法律上問題ありません。ただし、トイレの中にまで防犯カメラを設置することは過剰であり盗撮となります。また、犯罪の抑止の為に撮影された防犯カメラの情報から特定の人のプライバシーを侵害するような行為をしてはいけません。(ストーカーなど)個人的な目的である盗撮のような目的で防犯カメラを設置することも違法です。「個人情報保護法」の規定によれば、個人情報を5000件以上保有する企業は「個人情報取扱い事業者」としてこの法律に従わなければならないのですが、これには例外規定があり、5,000件以上であっても半年以内に破棄するデータであればこのカウントには含みませんので、該当する場合は録画したデータを半年以内に破棄するようにしましょう。
抱える課題
防犯カメラが普及したことにより、犯罪の検挙率は明らかに挙がっています。ネットワークの普及により防犯の目的以外にも活用されることが増えていて、利便性の高いシステムとしてますます増加することでしょう。ところが、プライバシーの侵害と感じる人が日本には多いことも事実です。常に監視されているようで不快であるといったような意見も多く出ています。現在、防犯カメラと関連する法律は個人情報保護法しかありません。開発や普及が進み、様々な機能が利用できるようになっている現在では、今までの法律では該当しない事案が発生してしまうことも想定されます。例えば、ドローンに搭載された防犯カメラでは追跡することも可能です。そのような事にも対応できるよう早急な法整備が求められます。
おわりに
今回は、防犯カメラの設置が違法となるケースと抱える課題についてご紹介させていただきました。新しい技術が開発され、個人を特定されてしまうような機会は今後どんどん増えていきます。利用する側も、自分勝手な考えで利用するのではなく、プライバシーに配慮したマナーを守った利用をすることが大切です。