知っておきたい防犯カメラ設置と法律のこと
防犯カメラを設置する目的は簡単に言えば「防犯」の為と、「犯罪がおきた時に証拠となる映像を残しておくこと」ですよね。犯罪抑止の為には非常に有効で、防犯意識の高まりから町中のあらゆるところに防犯カメラが設置されるようになってきましたが、「これって誰もが監視されているのかも?」と少し不安に思われる方も多いのが現状です。防犯カメラは不特定多数の人についてのプライバシーを記録してしまうという側面があります。そこで今回は、防犯カメラを設置する側も監視される側も知っておきたい法律のことをご紹介します。
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)とは
防犯カメラを設置するにあたり知っておかなくてはならない法律は、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」です。この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としています。(第一章第一条より抜粋)
何かの契約をしたり、会員になったりする時に、提出された個人情報はこういう目的のみに使用しますなどと書かれた用紙を渡されたり、同意したりしたことがあるという方は多いのではないでしょうか。要は知り得た個人の情報を第三者に知られることのないようにします、という内容です。違反すると民法709条「損害賠償請求・慰謝料請求(不法行為など)」に設定されている論拠に基づき請求権を行使される場合があります。
防犯カメラの映像が個人情報を取得していることになる?
じつは、防犯カメラに記録された個人の画像は、特定の人物を識別することができる個人情報であり、「個人情報の保護に関する法律」に定められている個人情報として保護の対象となっています。防犯カメラは、犯罪の防止を目的とするものですが、プライバシーや個人情報の取り扱いには十分に留意することが必要となります。個人情報保護法では、利用目的をできる限り限定し、その目的外で個人情報を取得することは違法とされています。そのため防犯カメラを設置する場合、防犯カメラで撮影していることとその映像を利用する目的を公表する必要があるのです。
利用する目的から逸脱してはいけない
つまり、防犯カメラを設置した本来の目的通りに使用されていれば、法律に触れることはありません。
例えば、万引きが多く発生するスーパーやコンビニで防犯カメラを設置することは犯罪の抑止の為であり、仮に万引きが発生した場合、その映像を証拠として保全することは、法律上問題ありません。ただしトイレの中にまで防犯カメラを設置することは過剰であり盗撮となってしまいます。
例えば、マンションの共有部分に防犯カメラを設置する場合、マンションの住人に目的と設置を説明し知らせる必要があります。周知しないで設置してしまうとプライバシーの侵害と問題視されてトラブルに発展してしまう場合もありますので、注意が必要です。
また「個人情報保護法」の規定によれば、個人情報を5000件以上保有する企業は「個人情報取扱い事業者」としてこの法律に従わなければならないのですが、これには例外規定があり、5,000件以上であっても半年以内に破棄するデータであれば含みませんので、該当する場合は録画したデータを半年以内に破棄するようにしましょう。
おわりに
新しい技術が開発され、ネットワークを使用したライブカメラや顔認証システムが導入されるなど個人情報を特定されてしまう機会は今後どんどん増えていきます。それに伴い法整備もしっかりとされる必要があります。また、防犯カメラを設置する側は、個人のプライバシーも考慮し法律に沿った利用をすることが大切ですね。