日本でも現実味を帯びてきた?!課題の多いカジノのセキュリティ
長年議論されてきましたが、2016年統合型リゾート施設(IR)整備推進法案が参議院で可決され、日本の公営カジノがいよいよ現実味を帯びてきました。しかし現実には賭博法との整合性を取るための議論が急ピッチで進められているようで、ATMの設置禁止、日本人はクレジットカードの使用禁止、顧客への金銭の貸付禁止など、次々と追加されるルールが事業者らの出店意欲を削いでいるとも言われています。カジノ産業は国の経済発展に膨大な利益をもたらし、多くの人手も必要になる為、大量の雇用機会も魅力的ではあります。しかしながら、顧客管理が重要になってきますし、与信と貸付を行うなど、銀行と非常に似た面を持つとも言われています。その為カジノでのセキュリティは非常に重要であります。そこで今回は、カジノのセキュリティについてご紹介致します。
カジノ市場の発展
近年、カジノ業界は着実な成長を続けています。最も有名なのはラスベガスですが、最近ではアジア諸国でも人気が高まっていて、マカオなどでは急速に発展しています。リサーチ&マーケッツの調査によると、全世界のカジノ市場は2017年から2021年まで年平均成長率10.2%の成長が見込まれているそうです。アメリカを例に見ると、平均的なアメリカ人の納税額は収入の10%程度なのに対して、カジノは収益の25%を納税している為、国の経済発展に著しく貢献しているのがわかります。カジノでは、客の関心をつなぎとめるために、人工知能を利用した解析解決方策や、強力なセキュリティ解決方策などの技術を積極的に採用しています。
カジノでの事件
記憶に新しいのが、昨年のラスベガスでの銃乱射事件です。自殺した容疑者は約2年前からカジノや不動産投資で多額の資産を失っていたそうです。裕福だった容疑者が資産喪失でうつ状態となり、犯行の要因となった可能性があるとの見方を示していたそうですが、このようにカジノでの事件は後を絶ちません。フィリピンの首都マニラにある複合カジノ・ホテル施設でも銃撃事件が起きています。
重要なセキュリティ
カジノでのセキュリティが重要な課題である最大の要因は、カジノに集まる人の多さです。カジノは単なるゲーム場ではなく、エンタテインメント施設、ホテル、レストランなどが併設されています。またそこには多額の現金がありますので、盗難、事故、暴力行為などの問題が起こる確率は高くなってしまいます。カジノ内のセキュリティは非常に難しいと言われています。内部では照明が暗く、様々なのライトが点滅するので、人物やカードの数字、チップの色などを識別できる画像処理能力を持った最新型の防犯カメラが必要となります。それには化学捜査分析で必要なレベルのピクセル数が必要で、窃盗や不正行為などの動きを捉えるのに十分な高画質で感度の高い画像処理技術とストレージを有していなければなりません。それから、スロットマシン、テーブルゲーム、カードゲームなどのゲーム、ゲームサロン、カジノケージ、計算室、警備室など全てを監視する必要があります。エントランスにも、カジノ内部にも、顔認識システムを搭載し、テロリストなどの情報を登録共有し、事前に事件を防ぐ必要があります。カジノという特殊な環境では、このようにセキュリティ上の課題が多く、セキュリティ強化の為の最新技術が注目されています。特に人工知能を搭載したセキュリティシステムや監視カメラなどが注目されているようです。
おわりに
今回は、カジノのセキュリティについてご紹介させていただきました。日本でも、カジノ構想としてカジノに高級ホテルやエンターテインメント、会議場、ショッピングセンターを備えた大型統合リゾート施設が計画されているようです。様々な規制とどのように折り合いをつけるのかが焦点となっていますが、ただ経済効果や雇用だけを考えるのではなく、国民の安全と治安維持についても確実に確保する為に、セキュリティは非常に重要になってくるでしょう。