防犯カメラ市場の世界事情 日本企業と中国企業がトップ争いか?
近年、国際テロの脅威が拡大しています。犯罪も多様化しており、それに伴い防犯への意識が世界中で非常に高まっています。現在、世界の防犯カメラ業界の市場規模は約5000億円~1兆円と推計されます。では、世界中で防犯カメラの市場シェアが大きい企業はどこだと思いますか?
今回は、世界の防犯カメラ市場のシェアが大きい企業についてご紹介いたします。
世界最大の防犯カメラ市場
2015年までは、世界No.1企業はスウェーデンのアクシスコミュニケーションズという1996年に世界で初のネットワークカメラを開発した会社でした。続いて、第2位、第3位と中国の企業が続きます。第2位はHIKVISION(ハイクビジョン)社。第3位はDAHUA(ダーファ)社。ところが、2015年に世界シェアわずか1%以下の日本企業キヤノンが、世界最大手のアクシスコミュニケーションズを買収したのです。デジタルカメラでNo.1であったキャノンがネットワークカメラ最大大手のアクシスコミュニケーションズを買収することにより、ネットワークカメラの需要が高まっている世界市場に一気にシェア拡大を目指しました。これにより、日本の企業がシェア首位になります。
中国企業の猛追
アクシスコミュニケーションズを日本企業であるキャノンが買収したことによりシェア首位となりましたが、ここで第2位、第3位のシェアを占める中国企業も猛追を見せています。第2位のHIKVISION(ハイクビジョン)社は北京オリンピック、上海万博等の大型プロジェクトでカメラシステムが採用され、2014年のブラジルワールドカップ会場でも同社のカメラシステムが導入。このような業績を背景にし、2004年~2015年までの年平均成長率50%と非常に高い成長率を見せています。
続く、DAHUA(ダーファ)社ですが、こちらは従来の中国企業とは違い欧米化された先進企業で、全世界170か国以上にセキュリティ製品を出荷している世界企業となっています。ここ数年で急激なシェア拡大を見せており、セキュリティカメラ市場の世界シェアは15%を超えています。そして、自社ブランドのみならず世界的有名メーカーにもOEM供給をするメーカーでもあります。
日本と中国の防犯カメラに対する意識の違い
日本では、東京五輪に向けて防犯カメラなどの防犯システムの需要が拡大しています。実際にパナソニックがフランスの情報システム大手のアトスと東京五輪向けの最先端防犯システムの共同開発で合意し、シェア拡大を狙っています。また、犯罪やテロ対策などのため、公共施設や交通機関にも画像解析機能を持つネットワークカメラシステムが多く設置され始めています。その一方で、「監視カメラ」と言われるようにあまりに町中に防犯カメラが増え続け常に監視されているような状況に抵抗があるという人も多いのが日本の現状です。
一方、中国では公安や国が最前線で防犯カメラの設置を普及させています。なぜなら国家を筆頭とする公的機関が「監視」としてカメラを設置することが多くあるからです。このように中国では「防犯カメラ」というよりもまさしく「監視カメラ」という使い方をしている事が多いようですが、国民の考えも、「監視カメラがあっても気にならない」「中国経済が発展している証なので、良い事である」という意見が一般的のようです。
おわりに
いかがでしたか。日本と中国では国民の意識の違いが大きいようですね。日本では、プライバシーや個人情報流失に対する意識が高く「防犯」と「監視」の間で葛藤や抵抗があることが多いので、プライバシーの侵害にならないような「より見せない」防犯カメラの技術開発が求められています。一方、中国ではそういった意識が全体的に低い為、より鮮明に、より利便性の高い技術開発が求められているようです。また価格も安価なために、中国企業の防犯カメラの世界シェアは今後も急成長を続けていくでしょう。