財布やパソコン、薬まで?病院に盗難目的で侵入する窃盗犯のターゲットとは
患者やお見舞いに訪れた家族や知人など、病院には関係者以外にも不特定多数の人々が足を運びます。病院は建物の性質上、常に誰かが夜遅くまで出入りしている状況のため、盗難被害が発生しやすい場所です。
そこで今回は、病院で窃盗犯に狙われやすいものや病院が講じるべき対策をご紹介し、医療機関における防犯体制の問題点について考えてみます。
病院はいつでも侵入可能?
診察や検査、お見舞いなど、病院を訪れる方は何らかの目的を持ってやって来ます。しかし、その中に、窃盗目的の不審者が侵入しても、大勢の患者や見舞客の中から見分けることはほとんど不可能に近いでしょう。
人が出入りしやすい時間帯は日中に限りません。総合病院などの大きな医療機関では、緊急用の夜間入り口が設置されており、基本的に24時間開放された状態です。特に夜間は少人数体制で、巡回や看護などの業務にあたっているため、不審者の侵入に気づかず犯行を許してしまう可能性も否定できません。
病院で狙われやすいもの
病院の中には、厳重な管理を要する重要品がいくつかあります。窃盗犯のターゲットになりやすいのは以下の3点です。
財布などの金品
病棟では入院患者が私物を持ち込んで生活しており、その中には財布などの貴重品も含まれます。多額の現金が財布に入っていなくても、クレジットカードやキャッシュカードなどが盗まれれば被害は大きくなるでしょう。
患者が検査や治療のため個室を離れた隙を狙われた場合、個室に入った人物が家族なのか、知り合いなのか、関係ない部外者なのか見分けられません。そのため、家族になりすまして白昼堂々と犯行に及ぶ窃盗犯もいる、というのが現状です。
パソコン
診察窓口となる事務室には、多数のパソコンが設置されており、夜間にパソコンが盗まれる被害も少なくありません。パソコンは本体そのものが貴重品であるばかりか、中には患者に関するカルテや個人情報も入っており、情報漏えいという事態になれば病院側の管理体制が大きく問われるでしょう。
「出入り自由で、警備も手薄」という弱点を犯人側が熟知していたため、パソコンの窃盗目的で病院が狙われた事例もあります。
薬や注射針
病院や薬局の薬が狙われる犯行も目立ちます。向精神薬やモルヒネなど、特定の薬品やその原料を狙った犯行が年々増加傾向にあることから、厚生労働省でも注意を呼びかけています。精神安定剤や劇薬類などは、素人の手によって勝手に扱われるべきものではありません。
犯人以外の誰かの手に渡ってしまい、事件に発展するリスクも考えられます。実際に、盗難薬品が犯罪に利用されるケースも報告されており、病院側の厳重な管理体制が求められています。
病院が取るべき防犯対策は?
これまでご紹介してきた通り、病院を狙った窃盗被害は後を絶たないことから、セキュリティを強化する病院も増えています。重要な部屋から部外者をシャットアウトするための入退室管理システムでは、暗証番号の入力や指紋照合によって入室を厳重に管理することが可能です。薬品を管理する部屋や監視しにくい個室などに防犯システムを導入することで、貴重品や薬品の盗難被害を防止できます。
また、録画とモニター監視が同時にできるネットワークカメラの導入も、大きな犯罪抑止につながるでしょう。玄関や夜間出入り口など、病院内の重要な場所に設置すれば、ナースセンターや警備室で常時監視することが可能です。
おわりに
病院を狙った窃盗被害が増えている理由は、病院側の警備が甘いことを犯人側も熟知しているからです。そのため、窃盗犯のターゲットにならないようにするには、防犯カメラによる監視システムの構築、入室を厳しく制限する入退室管理システムの導入など、高い防犯効果が期待できるセキュリティ対策が必要不可欠といえるでしょう。