逆光による黒つぶれ・照り返しによる白飛びを防止する防犯カメラの補正機能とは
近年、「防犯カメラに写った容疑者の姿が逮捕の手がかりになった」「交通事故の様子を道路の防犯カメラで確認できた」などという話をよく耳にします。日本人のセキュリティー意識の高まりとともに防犯カメラ市場は飛躍的に伸びており、大量生産による価格の安定と機能の多様化が進んでいます。
今回は、さまざまな逆光環境において黒つぶれや白飛びを防止し、被写体をクリアに撮影する防犯カメラの補正機能についてご紹介します。
防犯カメラの黒つぶれ・白飛びとは
太陽や照明器具が、撮影したい対象の背後からカメラに向かって差している状態を逆光と言います。逆光の状態で写真を撮ると、人の顔などが真っ黒になってつぶれてしまうため、フラッシュをたかなければならないことはご存じの方も多いでしょう。これと同じ現象が、映像を撮影する防犯カメラでも起こり得ます。
また、西日などの強い光が作りだす逆光ではコントラストが激しくなり、白飛びと言う現象が発生します。明るいところが白くなりすぎて、撮影したい対象物の陰影がなくなってしまうため、黒つぶれと同じように人の顔などが認識できなくなります。
防犯カメラを設置することの多い窓際や玄関先、屋外通路などの場所は、このような明暗のコントラストが激しい場所が多いため、防犯カメラの技術がまだ発達していなかった時代は、映像の白飛びや黒つぶれに悩まされてきました。
防犯カメラのさまざまな補正機能
明るいところと暗いところを同時にカメラで撮影する場合に役に立つ機能が「逆光補正機能」と「ワイドダイナミックレンジ機能」です。ここでは、この2つの機能と違いについてご説明します。
また、その他の新たな補正機能についてもご紹介します。
黒つぶれを改善!逆光補正(BLC)機能とは
旧式の防犯カメラでは、黒つぶれによりクリアな映像の撮影が困難でした。しかし、最新の防犯カメラには逆光補正機能が搭載されており、黒つぶれのほとんどは改善されています。
逆光補正(BLC)とは、画面内の指定した範囲の明るさを基準にして画像全体の明度を調整し、被写体を認識できる映像を撮影する機能です。逆光補正カメラは、被写体への逆光の影響が強い場所での撮影に適していますが、画面全体の明るさを補正するため、明るい部分は白飛びすることがあります。
逆光補正機能付き防犯カメラの設置は、屋外で朝日や夕日などがカメラに対して差し込むような場所が最適といえるでしょう。
明部と暗部の画像を合成するワイドダイナミックレンジ(WDR)機能とは
ワイドダイナミックレンジ(WDR)機能では、シャッター速度を変えて暗い被写体と明るい被写体を撮影し、それぞれの画像をデジタル合成することで、黒つぶれも白飛びもしていない鮮明な映像を作ります。
ワイドダイナミックレンジ機能を搭載した防犯カメラは、明暗のコントラストが激しい場所での撮影に適しています。また、明るさを調整する逆光補正機能よりも、鮮明な画像の撮影が可能です。
ちなみにダイナミックレンジ(DR)とは、明るい場所と暗い場所の照度比率のことです。ダイナミックレンジ値が広い(=大きい)ほど、より大きな明暗差をカバーして、鮮明な映像を撮影します。
その他の防犯カメラの補正機能
防犯カメラの補正機能には、逆光補正機能やワイドダイナミックレンジ機能以外にもさまざまな機能があります。
暗い場所でのシャッタースピードを調整する「スローシャッターコントロール機能」や、車のヘッドライトなど強烈な光をマスクする「ハイライト抑制逆光補正機能」など。最新の防犯カメラには、光量を調整してクリアな映像を作成するさまざまな新機能が搭載されています。
今後の防犯カメラの普及について
防犯カメラ先進国のイギリスでは、イギリス全土に590万台(人口11人に1台)以上の防犯カメラが設置されています。
日本での防犯カメラの設置台数は、2016年の調査で500万台(人口25.4人に1台)以上ですが、2020年の東京オリンピック開催に向けて、屋外の防犯カメラ需要は拡大することが予想されます。
今後も防犯カメラの新技術が開発され、防犯や防災など、より安全な社会づくりに役立つことでしょう。
おわりに
最新の防犯カメラには、黒つぶれを防止する逆光補正(BLC)機能や、黒つぶれも白飛びも防止するワイドダイナミックレンジ(WDR)機能が搭載されています。これらの補正機能により、鮮明な画像を撮影することが可能となりました。
設置場所や監視したい対象物に合わせて、防犯カメラの機種や機能を選ぶと良いでしょう。