ハイビジョン防犯カメラの主な規格。HD-SDIとAHDの違い
防犯カメラで撮影された映像は、事件や事故などの証拠として提供することがあります。しかし、証拠として扱われるためには、細部まで鮮明に録画されている映像である必要があります。
カメラの信号方式はいくつかありますが、ハイビジョン防犯カメラの主な規格はHD-SDIとAHDの二種類です。防犯カメラの購入や買い替えを考えているのであれば、代表的な規格は知っておいたほうが良いでしょう。今回は、防犯カメラの規格についてご紹介します。
それぞれの規格の特徴
一般家庭への防犯カメラの普及に伴い、価格の安いアナログカメラに再度注目が集まっています。価格が安さに加えて、安定した録画ができるため「肝心な部分が録画されていなかった…」という心配がいらない点もメリットです。
アナログカメラの規格で、日本では「アナログハイビジョン」と呼ばれている、HD-SDIとAHDそれぞれの特徴についてお伝えします。
放送用のハイビジョンデジタル規格:HD-SDI
HD-SDIは衛星放送で使われている規格と同じで、昔からテレビ局でも使用されています。同軸ケーブルを使った防犯カメラで、「HD」は「High Definition」の略、「SDI」は「Serial Digital Interface」の略です。
HD-SDIの解像度は1920×1080であり、圧縮せずにハイビジョン映像を伝送できることが特徴です。この規格の製品は高額ですが、伝送距離が短いことが弱みともいえます。ただし、中継器を途中に置くことによって、伝送できる距離の延長も可能です。
この規格はテレビ局などで使用されていただけあり、映像のノイズがとても少ないというメリットがあります。防犯カメラで記録された映像には鮮明さが求められることがありますので、大きな防犯効果を期待してこの規格を採用する場合も少なくありません。
普及率の高い規格:AHD
「AHD」は「Analogue High Definition」の略です。
AHDの古い規格の解像度は1280×720とHD-SDIよりも劣りますが、現在では1920×1080の映像も伝送できる規格が存在します。また、AHDではHD-SDIよりも長い距離を伝送できるという強みもあります。加えて、これまでのアナログカメラとあまり変わらない値段で購入できるため、世界的に見ても広く普及しています。
AHDでは、デジタル映像をそのまま伝送するのではなく、一度アナログ情報に変換してから伝送します。伝送先でデジタル情報に変換しなおすことで、ハイビジョンの映像が見られるようになっています。
この規格を開発したのは韓国の「NEXT CHIP社」ですが、この会社がAHDをライセンスフリーにしたことによって価格が大きく下がり、普及率の上昇につながりました。
HD-SDIとAHDの違い
実際に利用するとなると、実用性を考慮して防犯カメラを購入したいものです。こういった機械で、意外と気になるのがケーブル問題です。ここにも、HD-SDIとAHDの違いがあります。
HD-SDIで使用されるケーブルは、衛星放送と同じ「5C-FB」の同軸ケーブルです。一般の同軸ケーブルよりも太いため、HD-SDIのケーブルはハイビジョンの映像を伝送しても遅延が起きません。ただ、音声は伝送できないため、もし記録する映像に音声が必要な場合は音声用にケーブルを追加する必要があります。
これまで対応していなかったアナログカメラを使用していた場合は、AHDならば同じ同軸ケーブルが使用できるため、買い替えがしやすいという利点があります。
おわりに
今回は、防犯カメラの規格についてご紹介しました。
ハイビジョン防犯カメラは、カメラとレコーダーで同じ規格を使わないと映像がきちんと映りません。代表的な規格を覚えておき、購入時や買い替え時には気を付けるようにしましょう。
また、防犯カメラを設置する場所や目的によって適切な規格が異なってきます。導入コストも違ってくるので、予算によっても選ぶべき規格は違ってくるでしょう。現在の状況に照らし合わせてみて、一度検討してみてはいかがでしょうか。