マンションの防犯対策の指標となる、防犯優良マンション標準認定基準とは
多くの入居者が共同生活を営むマンションにおいて、防犯基準を定めることはとても大切です。防犯対策やセキュリティに関する設備状況の優良性をアピールできれば、侵入者に対する行動抑止にもつながります。そこで今回は、警察庁や国土交通省の指針のもとでとりまとめられた「防犯優良マンション標準認定基準」について説明します。
防犯優良マンション標準認定基準とは?
住居侵入や空き巣などの犯罪に対して、防犯対策をとっているマンション(共同住宅)を認定する制度「防犯優良マンション認定制度」のモデルとなるべく定められた認定基準です。各都道府県で認定マンションが増えることを目的とし、安全対策の推奨事項や認定の指標となる必須事項などを定めています。
防犯優良マンションの認定にあたって必ず評価すべき対象項目を必須事項、防犯性の向上を図るためにあれば望ましい対象項目を推奨事項と定め、共用部分の出入口やエレベーターなど全部で23項目の安全・防犯対策を打ち出しています。
共用部分における認定必須事項
防犯性の高い優良マンションとはどのようなマンションでしょうか。防犯優良マンション標準認定基準を参考に、「共用出入口」「エレベーター」「防犯カメラ」の3ポイントについて防犯対策を見ていきます。
共用出入口
共用玄関は、表道路からよく見通せる配置であることが条件。オートロックシステムと防犯カメラを設置すること。共用出入口に関しては、道路から見通しが確保されていることに加え、オートロック扉などのセキュリティを必要とします。
エレベーター
防犯カメラの設置はもちろん、非常ボタンやインターホンなど連絡システムの設置が条件です。エレベーター内の照明設備は、床面において50ルクス以上の明るさが必要です。また、エレベーターホールは共用玄関または管理人室から監視の届く範囲内に配置して安全対策を施します。
防犯カメラ
マンション内外に設置された防犯カメラは撮影と記録装置の一体化、抑止効果の見込まれる場所への設置が大前提。防犯カメラを設置する場所では、夜でも犯罪抑止効果が期待できる照明機能または、それに類する防犯設備を兼用してセキュリティを高めます。
赤外線照明や暗視補正機能を搭載したカメラであれば、真夜中に不審者が侵入してもしっかり監視できます。高解像度のハイスペックカメラであれば、車両ナンバーの読み取りも可能。より高い犯罪抑止効果が期待できます。
マンション防犯の注意点
マンションの防犯対策として、空き巣や窃盗を働く犯罪者の行動パターンを知ることも大切。警察庁の調べによると、マンションなどの共同住宅における侵入手段として、もっとも多かったのが窓や扉の無施錠状態です。侵入口としてもっとも多かったのは、3階建て以下で窓、4階建て以上で表出入口という結果です。1階や2階にお住まいの方は、玄関に加え窓からの侵入に対しても万全を期す必要があります。
マンションに侵入する不審者は、窓や表出入口を使って入ってきます。つまり、マンションの入口や開口部のセキュリティが甘いと、犯罪を呼び込む遠因にもなるわけです。防犯優良マンション標準認定基準が示すように、出入口部分でのオートロック扉や防犯カメラの設置は防犯対策上、必須といえるでしょう。
おわりに
住民の快適な生活をサポートするためには、マンション設備全体が防犯対策を講じた、安全性の高い物件であることが望まれます。中古・新築に関係なく、表玄関やエレベーター内、駐車場といった共有スペースのセキュリティ対策が欠かせません。
防犯優良マンション標準認定基準は、法律と違い義務化されたものではありませんが、マンションの住民と管理者側が防犯意識を高くもって取り組む姿勢が望まれます。