補助金が後押し?介護老人ホームや障害者施設で活発化する防犯カメラ設置
福祉施設では、事故防止や事故が起きたときに備えて証拠映像を記録するだけでなく、施設を利用される方同士のトラブルや職員による不正行為を発見するため、設置されるケースもあります。今回は介護老人ホームや障害者施設で防犯カメラの設置が活発化している理由と、設置を後押しする補助金についてご紹介します。
防犯カメラ設置による施設での事故防止
介護老人ホームでは、入所している高齢者の方が安全に生活できるよう、配慮する必要があります。車椅子で移動する方もいれば、体力はあるものの認知症進み、徘徊が見られる方もいるでしょう。また、利用者が施設内を移動する際、転倒してけがなどをしていないか、十分に気を配らなくてはなりません。
しかし、時には職員の目の届かないところで転んでけがをしてしまうこともあるでしょう。事故が起きたとき、事故の原因が施設運営側の不備によるものなのか、それとも施設利用者の不注意によるものなのかが分からないと、再発防止策を講じることができません。施設の職員にとっても、けがをした利用者の家族にとっても、原因がはっきりしないという状況は納得がいかないでしょう。
施設で起こった事故の一部始終をきちんと記録しておくため、防犯カメラの設置は必須です。利用者のけがなどについては訴訟に発展するケースもあるため、万が一の場合に備えて防犯カメラを導入する施設が増えています。
施設利用者同士のトラブルや職員の不正行為の記録
防犯カメラ設置には、施設利用者同士のいざこざや、職員による不正・暴力行為を記録する目的もあります。職員による施設利用者への暴力事件は、時折ニュースとして取り上げられるようになりました。本来あってはならないことですが、発生してしまっているのが現実です。こうしたトラブル防止目的でも、防犯カメラの導入が求められています。
防犯カメラの映像は離れた場所から確認することができますし、モニターを見ながら室内に設置されたスピーカーから音声を流すこともできます。使い方次第により、施設巡回の代わりとして利用可能です。防犯カメラを有効に利用できれば、起きてはいけないトラブルを防ぐ手段となるでしょう。
補助金が後押しする防犯カメラ設置
窃盗団が高齢者施設を狙い、事務所に保管してあった現金を奪う事件をはじめ、近年では神奈川県相模原市の知的障害者施設の利用者が殺傷される事件(2016年)が起きています。介護老人ホームや障害者施設はお見舞いや面会で訪れる方が多く、施設への出入りは比較的容易です。したがって、福祉施設は地震や火災などの防災対策とともに、防犯対策にも取組むことが必要です。
施設の利用者の安全を守るため、国も手をこまねいているわけではありません。2016年度の国の第二次補正予算案では、障害者施設、保育所、児童養護施設、高齢者施設などの福祉施設の防犯対策を強化するため、防犯カメラ設置などの補助費用が計上されました。
2017年度も防犯カメラの設置を計画する障害者施設を対象とした、社会福祉施設等施設整備費国庫補助金の申請の募集があります。この補助金を利用する場合、設置費用の3/4が補助されます(設置費用の1/2を国、1/4を都道府県や指定都市、中核市が負担)。
おわりに
福祉施設は施設利用者の安全を守る義務があります。防犯カメラは施設での事故や利用者同士のトラブル防止の他、施設への不審者の侵入をいち早く検知するために欠かせません。
警備員などを配置して、すべての施設利用者を常時見守ることが難しい場合であっても、施設内に防犯カメラを設置すれば、施設内を効率的に監視することができます。今後の防犯カメラ設置の費用助成について、各自治体により対応は異なるでしょうが、国庫補助金の動向に注視しながら防犯対策を行いましょう。